屋上の魔女

第一章

僕は平凡な大学生だ。

いつも同じことを繰り返す。

朝起きてご飯を食べて大学に行って

終わってアルバイトに行って

帰ってご飯を食べて寝る。

同じサイクルの繰り返しだ。

友達と話すこともない。

授業をただ右から左に聞き流して

必要なレポートを書くだけ。

世の中は単純だ。

僕が死んだところで何も変わらないのが必然だ。

そんな僕に一つだけ、一つだけ気になることがあった。

『屋上の魔女』

僕が通っている大学に伝わる都市伝説みたいなもの。

月初めの雨の夕方に大学の校舎の屋上に現れるらしい。

会うことが出来て尚且つ気に入られると願い事をひとつだけ叶えてくれるらしい。

そんな魔女に会ってみたい。

生憎叶えてほしいような大きな願い事はないけれど。

大学内ではその魔女に会ったという者もいれば

そんな都市伝説は嘘だ、と話す者もいる。

賛否両論だ。

でも、本当にいるなら逢いたい。

きっと会えば僕の中の何かが変わると思う。

だから、僕はこれから逢いにいく。

『屋上の魔女』に。