俺らは昔2人でこの辺りをまとめてた。

呼び名は『龍虎』

俺がいつも白っぽい服着てたから『白龍』

怜也は同じような理由で『黒虎』

毎回2人で協力して喧嘩してた。

でも、沙織が来てから俺らの生活は変わった。

「咲也~♡」

「なんだよ。」

「また喧嘩するの?」

ベタベタとくっ付いてきて俺は苦手なタイプだった。

「ああ。目的があるから。」

「何の目的?あたし、手伝うよ?」


「いい。自分の力じゃないと意味無いことだから」

「ふーん。」

いつも適当にあしらっていた。

でも

ある日、俺は沙織に告白された。

もちろん断った。

好きでもないやつと付き合うのは相手にも失礼だから。

それに、その時俺には真央という彼女がいた。

幼なじみの真央は弱っちくてすぐ泣くやつだった。

だから俺ら2人でずっと守っていこうって決めていた。

だけど、その時沙織が言ったのは予想外の言葉だった。

「真央って子と付き合ってるんでしょ。知ってる。」

「じゃあ、なんで、?」

「そりゃぁ咲也の事が好きだからだよ。だからね~お願い、しようと思って」

小さい子がおもちゃをねだるように楽しそうに言った。

「何を?」

「真央ちゃんと別れて♡」

上目遣いで甘えてくる。

ぜってぇ、真央の方が素直で可愛い、、。

「それは無理」

キッパリ言い切ると待ってたかのようににやっと笑った。

「じゃあ、いいんだぁ。アタシ、嫉妬で何するかわかんないよ?」

「はぁ?」

「すっごい嫌な嫌がらせするかもだし、もしかしたら手ぇ出しちゃうかも?」

いいことを考えたみたいな顔して話す姿がほんとにそんなことするとは思えなくてつい

「やれるもんならやってみろ。その後どうなっても知らないからな」

と言ってしまった。

これが間違いだったなんて気づいた時にはもう遅かった。

「へぇ~。わかった。覚悟しといてね」

手をひらひらして帰っていった。