手を振って咲也くんと別れると、友達の玲於(れお)くんが歩いてきた。
「おはよ!りほ」
眩しいくらいのかわいい笑顔。
「おはよう!玲於くん早いね」
この子といると自然に明るくなれる。
「それはりほもじゃん!俺は自主練。」
「私は送ってもらったんだよ。」
「親じゃないよね、?」
玲於くんは家のことを知ってる唯一の友達。
「うん。近所のお兄ちゃんだよ。昨日泊めてもらったの」
「え!?その人の家に?」
「え、そうだよ、、?」
思ったよりもビックリしてる。
「そうなんだ、、。」
白いマフラーに顔をうずめて、ふてくされたような顔をしている。
、、どうしたんだろ、?
そのまま2人で部室に行くとまだ誰もいなかった。
まあ、みんないつもぎりぎりだもんね、、。
なんかさっきから少し期限の悪い玲於くんと2人きりなのが気まずい。
なんで不機嫌なの、?
聞きたくてもなんとなく聞けなくてもやもやする。
気にはなるけど一緒にいるより1回離れた方がいい気がして部室を出た。
でも、行くとこなんかなくて中庭とかを歩いていく。
すると、コツンと何かが足に当たった。
なんだろう、これ。。
そこにあったのは土まみれになった手に収まるほどの小さな箱。
開けていいのか分かんなくてどうしようかと思ってると先輩がふらっとやって来た。
「ん、りっちゃんおはのん」
手をひらひらして眠そうに言った。
「おはようございます。」
「こんな所で何やってるの?多分もうれーくん来てるよね?」れーくんって言うのは玲於くんのことだ。
みんなをあだ名で呼ぶのがこの人の癖みたいなもの。
というか、本名は覚えられないらしい。
おしいのに。
「来てますよ。でも、ちょっと一緒に居るのが気まづくて。」
「お、珍しく喧嘩かな、、?」
いつも相談に乗ってくれる優しい先輩らしく心配してくれてるみたい。
「あー、えと、喧嘩じゃないんですけど、なんて言うか玲於くんの機嫌がちょっと悪くて」
「んー、なんかしたの?」
「いえ、なにも、、。」
「だーよね。んー、、、時間は、、大丈夫か。ちょっと待ってて。」
そう言って先輩は部室に向かっていった。
