『愛ことば』



「スマホが遠い…」

「はい、どうぞ!」



キラキラした目を輝かせ、俺の手にスマホを乗せる彼女。
俺はお礼も言わずスマホを操作し始めた。




「喉乾いた。取りに行くの面倒くさい」

「お茶でいい?」

「コーヒーの気分」

「わかった。待っててね」




なんでも言うままに動いてくれる。
文句を言ったことは一度もない。
いつだってニコニコ笑顔を浮かべ嬉しそうに飛んでくる。



「あー足りない」

「足りない?なにが?お腹すいた?それとも…」

「んー、でも、お前が来てくれないと、無理」

「え?なに?なに?なにしたらいい?」




うだるように言うと、心配そうに駆け寄ってくる彼女。
心底心配そうな顔で、可笑しい。