月夜の涙

「狐珀…と言ったか?昨日はすまなかったな。助けてくれてありがとう。」





「い、いえ…」





どういう事ですか、目で桜さんに訴える





「狐珀…全て桜から聞いた。」





純さんは私の目をみて、そう言った





桜さんはこくんと頷く





「ど、どういうことですか?」





「お前と桜が入れ替わっていたことをだ。」




「えっ…」





「狐珀、俺はなひと月ほど前だったかな…桜の性格がガラッと変わったなと思ったのは…」





桜さんは気を利かしてか奥の部屋に消えていった。






「桜はな、どちらかと言うと冷めた性格をしていたんだ。俺の話を聞く時も上の空のようだったし、何しろ笑わなかった。桜は親から強制的に、俺との結婚を決められたらしい。他に好きな奴がいることも知っていた。俺も少し前から親に結婚を迫られていて、必死だったんだ。早く結婚しなければ、それだけで頭がいっぱいだった。俺は結婚に愛を求めていなかった。でもな狐珀。俺はひと月ほど前から、自分の気持ちに変化を感じていたんだ。お前はよく笑うだろう。俺の言葉一つ一つに反応を示してくれる。俺はいつしかお前も、俺と同じように俺のことを愛してほしいと思うようになった。俺がお前に告白した時、好きだと言ってくれたろう?それがとても嬉しかったんだ。一日でも早くお前を俺のものにしたいと思うようになった。」





純さんは少し俯いて、私の目をまっすぐと見た。





「だから、狐珀。俺は、桜ではなく、狐珀を好きになった。もう一度言う。今度は桜ではなくお前自身への言葉として受け取ってくれ。」




純さんは私の手を握り、微笑んだ。