「狐珀様、狐珀様、」




「ん、ゆうしさん？」




「はい。おはようございます。」




「おはようございます。…純さんは？」




「夜明けに出陣されました。」




「そうですか…」




「どうかされたんですか？」




「…私、純さんのこと好きみたいなんです。」



「昨日、純さんが愛を向けている相手が桜さんだと思ったら…すごくいやだなって思って。でも、妖が人に恋をするなんて許されないんです。本当に純さんのことを好きならば…こんな感情捨てるべきだと思います。それに、こんな私を純さんが愛してくれるはずがない…」





「狐珀様。誰がそんなこと決めたのでしょうか？」





「え？」





「確かに妖と人が恋をするなんて聞いたことはありません。しかし、許されないことではないんですよ。狐珀様。それに、本当に愛しているなら殿を信じてみては？あなたが愛したお方なんです。あなたが信じなくて誰が信じるのです？狐珀様。」