「ありがとう、ございます…!」

「どうしたの。そんなに改まっちゃって」





先生はふふって笑うけど改まるでしょ!


こんなプレゼントもらったのに…





「私なんて手作りチョコなだけだったのに…」





私がそう言うと先生は目を丸くする。





「こういうのは気持ちだからいいの!
俺だってゆずちゃんのチョコすごい嬉しかったし美味しかったよ」





そう言ってもらえても…やっぱり納得できない。





「でも先生のは…」





気持ちが大事とはいえ…何千倍くらいだもん!


申し訳なさが消えないよ…





「じゃあこうしよう。
ゆずちゃんは今日俺のお願い3つ叶えて?」

「お願い?」

「そう。本来は俺がゆずちゃんにあげる側なんだけどね…」





こんなに高いプレゼントをもらうだけじゃやっぱりいたたまれないの。


私も少しは返したい。


お願い叶えるなんて…大したことないのでいいのかわからないけど、先生がそう言うんだから良いんだろう。





「いいですよ!
お願い3つ、叶えます」

「言ったね?じゃあ1つ目。
学校の外では先生って呼ばないこと」





えぇ?!そういうお願い?!


先生と呼ばないって…な、名前で呼べってこと…?





「お願い、叶えてくれるんでしょ?」

「そ、それは…」





そうなんだけど、恥ずかしい。


改まって名前…倫哉さんって呼べばいいの…?





「と、とも…」

「とも?」

「ともや、さん…」





恥ずかしくて顔を伏せてしまうけど、先生──倫哉さんのにやけ顔はわかる。





「ふふふ…」





そう笑って私の頭を優しく撫でる。



その手が大きくて暖かくて、余計恥ずかしさが増す。





「ゆずちゃんは本当に可愛いね」

「そんなことっ…!」

「目の中に入れても痛くない」

「せんせ…とも、やさんの孫ですか私は…」





意気揚々とツッこもうと思ったのに、名前を呼ぶと倫哉さんが嬉しそうに微笑むからやっぱり恥ずかしくなって口をすぼんでしまう。


とてもむず痒くて…でも幸せなんだ。