「…先生!」
「もう、今までどこほっつき歩いてたの?」
保健室のドアを開けると、いつもみたいに先生が笑顔で迎えてくれる。
それがただ嬉しくて、なんだか泣きそうになりながら先生に飛びつく。
…先生に、また会えた。
先生の顔をまた見れた。声を聞けた。
「ゆずちゃん?」
また私の名前を呼んでくれる。
ただそれだけのことなのに、全身が震えるほど嬉しく感じる。
「私、勘違いしてました…」
「ん?」
「ずっと、先生は茜ちゃんが好きなんだって思ってました」
「…バカだなぁ。そんなわけないでしょ」
「私のこと、茜ちゃんの代わりとしか思ってないんだって…それが悲しくて」
思い返して、もう一度傷付いて涙が溢れてしまう。
先生が構ってくれるのは私が茜ちゃんに似てるからなんだって、胸が痛くて苦しくて…
それでも先生への気持ちはどうにもできなかった。

