「久しぶり…だな」

「10年ぶりくらい…ね」





異様な雰囲気に包まれる。



もう2人は2人しか見えなくなっているようで、私と先生は蚊帳の外。





「まさか従姉妹だったとは」

「お兄ちゃんは茜ちゃんをまだ…?」

「あの感じを見ればわかるでしょ」





痛いほどわかってしまう。



お兄ちゃんがどれほど茜ちゃんを好きか。





「茜があの時言ってた従姉妹って…」

「晶が言ってた妹って…」

「「ゆずだったんだ」」





とっくに私にはついていけない話になってる。



私の名前は出るのに。




知らないお兄ちゃんの過去。


茜ちゃんとの関係。





「…先生はどうして茜ちゃんをここに…?」

「茜をこの前偶然見かけてね。
それに晶は今でも茜を想ってるって確信があったんだよ。
離れ離れになってしまった元恋人。運命の再会を果たしたら…ねぇ?」





抑え込んでいた、諦めるべき想いが蘇ってくる。



…"期待"を引き連れて。



私も知ってる。その感覚を。