この世に愛があるのなら


ドゴッ


一瞬、何が起こったか分からなかった。


目の前には頬を抑えて郡を睨む黒髪がいる。


「……何すんだよ、郡。」


彼を見る郡の瞳には、温度が感じられない。


郡「言ったよな、さっき。幼なじみだって。
繰は汚くなんてない。綺麗だ。」


部屋の中が静まりかえる。


ハルのさっきまでの穏やかな笑顔も消えていた。


郡の言葉が私の心に突き刺さった。


もう郡の知ってる私じゃないのに。