そんなに自分を責めるんなら助けて欲しくなかったな。



「さらちゃんは…優しいね。」


「私は…、」


「俺は、そんなに優しくなれないよ。」


「…なんでそんなこと言うの？…先輩も……充分優しいですよ？」



こんなこと、日常の中で言ったらきっと先輩は大喜びするだろう。


でも今の先輩は、



「…そんなことない。俺は、優しい雰囲気を纏っただけの真っ黒な人間だよ。」


「そんなの…、」


「俺がさらちゃんのところに行く前に、図書室で何してたと思う？」


「何してたって……本、読むしかやることがないじゃないですか。」



それ以外で図書室行く目的といったら女子でいう集団トイレならぬ集団図書室でしょ。


でも先輩は静かに首を横に振って、



「…女の子といたんだ。」


「ほう…。」


「あっちから誘われたとはいえ、その誘いにのった。」


「それはふしだらですね。」


「ね？……俺は、そんな人間だ。だから本当はあの子たちにどうこう言う資格なんてなかったんだ。」