その笑顔に少々……だいぶ頬を赤らめた私は、自分の顔が先輩に見えないように早歩きで教室を出る。
……あんな不意打ちでその笑顔はダメでしょ。
いつもは余裕そうな笑みしか見せないのに。
昇降口に着き、ローファーに履き替えた私と先輩は、正門を出る。
「そうだ。先輩って、どこの大学受けるんですか?」
さっき教室で話題になったことを早速質問してみた。
「言ってなかったっけ?S大ってとこ。福祉系の大学なんだ。」
「へぇ。将来はそういう仕事につきたいとか?」
「まぁね。俺が産まれる前だけど、親父が老人ホームの介護をやってた時があったんだって。
ホームにいるじいちゃんとかばあちゃんの昔話が面白くて仕方なかったって。」
「そうだったんですか。お父さんが…。」
「うん。それで、じいちゃんばあちゃんがしてくれた話をいつも俺に楽しそうに話してた。
それを聴きながら育ったからさ、ある時、気になって色々調べて、俺も福祉系の仕事がしたいなって。」
夢を語る先輩の横顔は、すごくキラキラして見えた。


