「あたし……ママみたくなりたくないの」


あたしの言葉がまるで独り言みたいに響く。

凪はあたしの言葉の続きを待っていた。


「だってママはあんな男にばかり執着して、それで……」

「それで?」


なんでもない風な口ぶりだけど、どこか諭すような凪の声。

あたしは俯いたまま、着ていたシャツの裾を握る。


「それで……あたしを、のけ者にするんだもん」


言い終えるが早いか、あたしの目からはポロポロと涙が溢れた。

悔しい、恥ずかしい。
泣きたくなんてなかったのに。