「あたし、悪くないよねぇ?」


すがるみたいに、あたしは凪に聞いた。
凪はふぅーっと長く息を吐く。


「あぁ、そうだな」


凪の言葉は少しも飾られていなくて。
余計なものが含まれていなくて、ストンと胸に落ちる。


「ママは馬鹿だよ……下らない女だ。あたしはあんな女にはならない……」


言葉が胸に詰まって上手く伝えられない。

こぼれ落ちるように出た言葉を、凪は拾い上げてくれるのかな。

ゆっくりと顔を上げると、真っ直ぐに凪と目が合った。

相変わらずの冷たそうな印象の目。
だけど眼差しは柔らかかった。