さらに数十分が経過して、凪はやっと鉛筆を止めた。 凪が転がした鉛筆が、カランと軽い音で鳴いた。 凪の画用紙には本物よりもずっと重みと渋さのある花瓶やグラスがあった。 凪が凄く真剣な顔で表そうとしていた質感。 グラスの滑らかさや、下に敷かれたテーブルクロスの柔らかさが分かるくらいだった。 一方であたしの方の画用紙は酷いものだ。 小学生が描くような頼りない線で描かれた女の子。 隣には男の子。 傍らには小さな女の子と、犬か猫かも分からない動物。 なんだか恥ずかしくなる。