不完全美学


聞いてはいけない事なのかもしれない。

だけど口数の少ない凪がこんなに喋ってるんだから、ここで終わるなんて出来ない。


凪は少し躊躇っているようで、膝の上に置いた指先をじっと見つめている。

だけど一つ小さく息を吸うと、静かに呟いた。


「俺には才能がないからさ」


凪の言葉は、その場にポタリと落ちたみたいだった。


「なんでそう思うの?」


あたしがしつこく聞くものだから、凪は少し苛立った顔を向ける。

だけどあたしは負けない。
真っ直ぐに凪を見る。