時折盗み見る、凪の横顔。
栗色の髪から覗く切れ長の目。

その目があたしを映せばいいのに。

そう思いながら下唇をキュッと噛む。


こうしてあと何度、凪と一緒に帰れるのかな。

何度美術室で会えて、何度その横顔を盗み見れるのかな。


切なくて。
どうしようもなく悲しくて。


この帰り道が終わることが嫌で、足取りは次第に重くなる。

ついには立ち止まってしまったあたしに凪が気づく。


「何してんの」


あたしはそれに答えられずに、下を向く。