ポコポコと胸の奥に温かいものが沸き上がる。 凪の無愛想な横顔を見ていると、視線が固まって逸らせない。 「お前が泣いた日から、お前のことは嫌いじゃないと思った」 凪は左手で頭をわしゃわしゃと掻いた。 わずかに照れたような瞳が見え隠れする。 「あの時のお前、俺には何よりも綺麗に見えた」 ずるいんだよ、凪は。 今まで一度だってあたしに笑いかけてくれたことなんてなかったのに。 そんな台詞と共に、そんなに柔らかく笑うなんて。 うっかり胸が締め付けられちゃうじゃない。