少しムッとした様子の梓の横をすり抜けて凪のそばに寄る。


「凪、今日は何描くの?」


あたしの言葉に凪は答えなかった。そんなのいつものことなのに、あたしはどこか焦っていた。


「ねぇ、無視しないでよ。あ、油絵やるの?」

「北澤先輩が迷惑がってるじゃないですか」


梓はあたしと凪の間に割り込み、あたしを軽く睨む。

あたしも負けじと梓にキツイ視線を送った。

どうしてあんたが凪を庇うの。
迷惑なはずないじゃない。
だって凪はあたしを突き放したりしない。