不完全美学


嫌だと思った。
胸が苦しかった。

あたしは凪と居たいんだって認めざるをえない。


賑やかな教室の端っこで、あたしと真弓だけが別の世界に居るみたいだ。

不思議と居心地が良くて、少し素直になれる気もした。

真弓は相変わらず優しい顔をして、眼だけは諭すみたいにあたしを見てた。


「真弓」

「うん?」

「あたし、凪が欲しい。凪しか要らない」


自分でも驚いてしまうくらいに、真っ直ぐに出た言葉。

もう耳を塞いだりしない。
あたしの心が叫んでる。
悔しいけど。

「凪が好きだ」って。