彼は顔を上げると一瞬何かに耐えるみたいに顔を歪めて、それから優しく笑って私を見つめた。 「お嬢様…」 熱をはらんだ瞳で見つめられて胸が苦しくなる。 でもその強い眼差しが、彼も…雅也さんも同じ思いでいるんだと教えてくれた。 それなのに… 「私の幸せは大切な人の、お嬢様の幸せを願うことです。 ・ ・ ・たとえ私とではないとしても。」 絞りだされた彼の言葉を聞いて心の中で何かが崩れていくのを感じた。