漆恋を解く僕たちは。

「待たせちゃってすみません。

それから服まで。ありがとうございます」


「いえいえ。大きさ、ちょうど良くてよかったです。

会った時からスーツを着ていたから、楽なほうがいいでしょう?

さぁさぁどうぞ、座ってください!」


なんかウキウキしてるの可愛いな、俺まで楽しくなる気がする。


彼女に促されて席に座って待っていると…


ポンッ


瓶のコルクを開けたみたいな高い音がして目の前に美味しそうな料理が並んだ。


珈琲のいい香りがふわっと広がって、たっぷりとチーズの乗ったトーストからは湯気が立ちのぼっている。


「えっと…あの…」


驚いてまともな言葉が出てこない。


夢だ。そう思ってもなかなか動けない。


彼女はそんな俺を見て楽しそうに笑うと、


「ふふ、驚かせちゃいましたね。

でも…冷めちゃいますから。召し上がってください。」


そう言って自分も椅子に座ってパクパクと食べ始めた。


「…そうですね、頂きます!」