実家に帰った俺は、引越しの為の準備をしていた。


と言っても電化製品等は元々用意されているらしいので、ただ衣類を鞄に詰め込めるだけ詰め込んで持っていく小旅行のような身軽な引越しになった。


「こちらはいつ来ても大丈夫なようにしておくので、準備が出来たら来て下さいね。待ってますから。」


大家さんの優しい言葉と共に爽やかな笑顔が思い出されてつい顔がにやける。


「あんた何一人で笑ってんの?気持ち悪...」


気付くと母親が俺の部屋のドアから顔を覗かせていた。


「何だよ!ノ...ノックくらいしろよな!」


「あんたいつからあっちに行くの?」


聞いちゃいねえ...


「ん〜明日には行こうかなとは思ってるよ。」