誰か、私を見て。

 私を、見つけて。


 誰からも必要とされていなくても、閉じこもったまま、生きているか死んでいるかわからない生活をしていても、私のイメージは、こんなにもあふれてやまない――


「俺のところで働かないか?」


 それは今思い出してもぽかんとしてしまうくらい、唐突すぎる言葉だった。

 まだ社長業が板についていなかったのだなと、今ならわかるけれど、当時は不審な男だと思っておもいきり睨みつけてしまった。

「あっと……失礼。広告制作会社をやってる、結城という者です」

 店の隅でコーヒーを飲んでいた私に名刺を差し出しながら、結城遼介は作品を見てすっかり魅了されたことを興奮した口ぶりで説明した。