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 平日昼間の繁華街は、意外と人が多い。

 通りを行く人の大半は主婦や大学生といった感じだけど、時折サラリーマン風の男の人も歩いていた。

 そういう人たちに交じって映画を観て、絵里奈とならんで駅に向かう。

「うう、めちゃくちゃ感動した~。涙止まらないよ。沙良ちゃんはどうだった?」

 鼻をぐずぐずさせながら言う絵里奈を横目で見て、私は赤信号の交差点で足を止める。

「どこで感動すればいいのか……」

 頭の中には疑問符が大量に浮かんでいる状態だった。

 絵里奈が選んだ映画は、結婚を約束したカップルの話で、結婚直前で男のほうに重い病気が発覚し、そんなタイミングでヒロインを想い続けていた幼馴染が海外から帰国するという展開だった。

「ええ、なんで!?めちゃくちゃ切なかったじゃない」

「大事な人が死んでしまうことがとても悲しいのはわかるけど、恋とどうつながるの?」

「彼のセリフできゅんきゅんしなかった?好きな人と一緒にいるだけでドキドキする感じ」

「……性欲の対象ってこと?」

「いやいや、そういうんじゃなくて」