幾何学模様のシャツに黒いパンツというカジュアルなスタイルなのに、着こなしのせいかドレッシーな雰囲気をまとっている。
いかにもこういう場所に慣れているという感じのその人を見て、あっと思った。
さっきまでDJブースでパフォーマンスをしていた人だ。
「なんだよ遼介。お前、来てたのか」
「来てたのかって……兄貴が呼んだんだろ」
顔をしかめた社長を見て「ははっ」と笑う男性は、弟によく似た端正な造作の持ち主だった。
社長の七歳年上の実兄、レジェンドとの異名を持つ天才音楽プロデューサーの結城駿祐。
「いやあ、悪い悪い。なんか麗子が突撃して迷惑かけたみたいで」
「本当だよ。断るにしてもやり方ってものがあるだろ」

