この手に触れたら、新しい世界への扉が開くのだろうか。
それは、楽しみなようで、少し怖くもある。
それでも、社長が一緒にいてくれるなら、どこへでも行けるような気がした。
やたらと乗り心地のいい車に乗って訪れたのは、都内の高級住宅地のそばにある、一見しただけでは何なのかわからない建物の前だった。
四階建てで、通りに面した窓からは柔らかなオレンジの灯りがこぼれている。
入口にスタイリッシュなテナントサインが立っていて、かろうじて飲食店が入った複合施設なのだとわかった。
光に誘われるように一階の店の入口に近づこうとすると、「こっちだよ」と社長に呼ばれた。

