髪を巻かれ、編みこまれ、赤いバラをモチーフにしたヘアアクセサリを留められ、化粧を施される。
用意されていた踵が少し高めの靴を履くと、ソファに座ってタブレットを操作していた社長が顔を上げた。
さっきの怒った顔とは打って変わって、呆気に取られたように目をまたたき、ぼそりとつぶやく。
「……まずいな」
満面の笑みを浮かべて私の脇に立っていた女性スタッフたちが、急に青ざめた。
「申し訳ありません、お気に召しませんでしたか」
「あーいやいや、ちがいます。完璧です」
あわてたように手を振って、彼はまっすぐ私に視線を合わせる。
「むしろ完璧すぎて、連れて行きたくなくなったというか……」

