音を立てて勢いよく閉じたドアを見つめてしまう。
りんごみたいに紅潮した顔が、目に焼き付いていた。
社長はもしかすると、いや、もしかしなくても、チャイナドレスが好きらしい。
「癖(へき)……?」
ふっと吐息がこぼれる。
胸に溜まりかけていた不満がすべて溶け出したように、急に心が軽くなって顔の筋肉が勝手に緩んだ。
チャイナドレスを脱いでハンガーにかけ直し、クリムゾンレッドのワンピースドレスを手に取る。
ウエストにリボンがあしらわれ、スカートがレースになっているそれに着替えてから部屋を出ると、今度はすぐにサロンチェアに座らされて、ふたりがかりで髪と顔をいじられた。

