一途な社長の溺愛シンデレラ


「おつかれさま」

「あ、沙良ちゃん」

 ドアを開ける手前で呼びかけられて振り向くと、絵里奈も西村さんも笑顔だった。

「デートの詳細、あとで教えてね」

 にっこり笑う絵里奈たちに見送られながら、私は会社を出てエレベーターに乗り込む。

 知らぬは当人だけ、ということらしい。

 今日ふたりで出かけることを周囲にうまく隠しおおせたと思っているだろう社長は、石原ビル一階の裏口で待っていた。

「おう、例のやつちゃんと持ってきたか?」

「うん、言われたとおりに」

「よし。じゃあ行くか」

 私が持っていた紙袋を自然な動作で受け取って、社長は裏通りを歩き始めた。角を曲がって、すぐに大通りに出る。すっかり日が伸びて午後六時でも辺りはまだ明るかった。