小説家の志鷹なずな人気と恋するブックストリートMAPの評判が女子中高生の間で話題になり、これから開催されるイベントや企画への申し込みも殺到しているのだとか。
「おい、お前たちも適当なところで切り上げて帰るんだぞ」
帰り支度をしている社長に声をかけられて、西村さんと絵里奈は温泉に浸かったようなほっこりした顔になる。
「ああ、ここにもピュアな恋をしている人たちがいたっけな」
「いいなぁ、私も恋したいなぁ」
「お前ら……本当にさっさと帰れよな」
少し決まりが悪そうに言ってから、社長は私に目配せをした。こちらもすでに帰る準備はできている。
「それじゃあ、お先」とフロアを出ていく彼に、社員たちが「おつかれさまでーす」と気の抜けた返事をする。
それから五分ほど待って、私は席を立った。

