西村さんと絵里奈と別れ、私と社長は西へ向かう地下鉄に乗り込んだ。 この時間になると、乗客はアルコールの匂いを漂わせたサラリーマンが多くなる。 赤ら顔で仲間と笑い合ったり、シートでいびきをかいているおじさんたちを眺めながら、座席とドアのあいだの一角に体をすべり込ませた。 正面に社長が立つと、私はシートの衝立と身体の大きな社長に挟まれ、周囲から隠れてしまう。 電車が動き出し、社長は覆いかぶさるように顔を寄せてきた。至近距離でじろじろ見られて、心臓が反応する。 「……なに?」