そんなことを言われるのもはじめてで、目をまたたく。布団をかけ直して本格的に眠りに入ろうとする社長に、思わず近づいた。

「……おい、なにしてるんだよ」

 かけ布団をめくり、私は社長のとなりにごそごそと潜り込む。

「添い寝してあげる」

 壁の方に体を引いている社長に向かって、『カモン』というように両手を広げてみせた。

 どうせいつものように、「寝ぼけたこと言ってんな!」と怒り口調でベッドから追い出されるのだろう。

 そう思っていたのに、今日の彼はなんだかちがった。

 するりと伸ばされた大きな腕に、ゆっくり抱き寄せられる。

「え……」