子うさぎに爪楊枝を刺す私を見ながら、社長はベッドに腰を下ろして、またため息をついた。

「……ごめん?」

 疲労を蓄積したような姿におそるおそる言うと、彼は微かに笑う。

「疑問形で謝るなよ。それに、疲れてるんじゃなくて、気が抜けてるだけだから、心配するな」

 そのまま、大きな体をごろりとベッドに横たえた。

 珍しい事態に私は目を見張った。

 社長はこのソファのない部屋に来ると、ベッドに腰掛けることはあっても、横になることは決してなかった。

 私のベッドに寝そべると、長身の彼は足の先がはみ出そうになる。

「悪い。ちょっと寝ていってもいいか?」