整った顔でまじまじと私を凝視した後、社長は目をつぶって深い吐息をついた。
「本当に……おまえはなにを考えているんだか、わからん」
「……それはこっちのセリフ」
「もういいから、座ってろ」
キッチンから追い出されて、私は座椅子に腰を下ろす。
こちらに背を向け、するするとりんごを剥いていく社長の体はとても大きい。ガスコンロが一口しかない狭いキッチンに立っていると、おもちゃの世界に紛れ込んでしまった人間みたいに不釣り合いな感じがする。
「ほら、食え」
差し出された皿に並んだ不揃いのりんごには、やっぱりうさぎの耳がついていた。大きいものがふたつに、小さいものがふたつ。まるで四匹の親子みたいだ。

