せっかくの男前が台無しになるくらいの形相で振り返ると、社長は目尻をいっそうつり上げた。
「おまえがなんにもできないからだろうが!」
目にも止まらぬ速さで洗い物を片付け、ゴミ袋をがさがさ広げながら私をにらみつける。
「社員を汚れた部屋で餓死させるわけにはいかないんだよ」
怒鳴りながらも甲斐甲斐しく動き回る姿をぼんやり見ていたら、社長がぽつりと言った。
「で、お前は最近、いつ風呂に入ったんだ?」
「……」
指を折って数えるふりをすると、即座に脱衣所に押し込まれた。
「片付けとくからさっさと入れ!」
冬だし三日くらい風呂に入らなくても死なないよ、と思いつつ、仕方なくシャワーを出して水がお湯になるのを待ちながら、脱いだパーカーとジーンズを山になった洗濯カゴに放った。
セパレイトタイプの浴室には小さいバスタブがあるけれど、湯を溜めるのも掃除するのも面倒でほとんど使っていない。
炊事も掃除も洗濯も苦手だけど、下着だけはシャワーのときに洗うことにしている私は、いつものように全身の泡を流しながらスポーツタイプのブラとショーツを手早く洗った。

