「そうかそうか。遼ちゃんは一途だなあ」
「だから、昔の話だって……」
居心地が悪そうにラーメンをすすって、社長はまた疲れたようにため息をこぼした。
「ああ、なんかイヤ!」
絵里奈が空になったグラスを叩きつけるように置いた。社長に向かって「なんかイヤです」と嘆かわしそうに首を振る。
「なんだよ眞木」
社長は困惑しながらも、絵里奈のグラスに水を注いでやっている。
「社長が、沙良ちゃん以外にもそんなふうに入れ込んだ女がいるっていうことが、なんかすごくイヤです! しかも今も継続中だなんて……ショック」
「なんで眞木がショックを受けるんだよ。ていうか昔の話だって、さっきから言ってるだろ」

