一途な社長の溺愛シンデレラ


 社長と竜崎はしょっちゅう衝突しているように見えるけれど、なんだかんだ気が合うようで仲がいい。

 そうでなければ、面倒ごとを避けるタイプの竜崎が、いくら上司に頼まれたからといって四年間もデザート・ローズにわざわざ差し入れを持って顔を出すはずがない。

 ふと見ると、店主の男性と目が合った。彼は私を見たあとにニヤニヤ笑いながら絵里奈に目を向ける。

「で、どっちが遼ちゃんの彼女だ?」

 麺をすすっていた社長がとたんにむせる。ゴホゴホ咳をしたあとに水を一口飲むと、焦ったように店主を見た。

「違いますよ。ふたりとも会社の子です」

「なんだよ、つまんねえな。あ、あれか。遼ちゃんはまだ例の彼女に夢中なんだっけな」

「例の彼女!?」