一途な社長の溺愛シンデレラ


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「沙良も塩でいいよな?」

 店の入口で券売機に千円札を入れながら、社長が振り向く。よくわからないままうなずいて、私は店内を見回した。

 L字型のカウンターの向こうで黒いTシャツ姿の店員たちが忙しそうに動き回っている。

 カウンター席しかない小さな店だった。

 午後二時で昼のピークを終えているはずなのに、客席はすべて埋まっている。

「五万円のブーツが、なんで千円の昼飯に……」

「ん? いやならやめてもいいぞ」

 カウンター台に食券を置こうとしていた社長が手を止めると、西村さんが慌てたように席についた。

「いえ、いただきます。ありがたくごちそうになります」