味方につけることで、やりようによっては大きな利益をもたらしてくれるかもしれないのに、その誘いを断るなんて。 「……大事な人がいるから?」 竜崎が言っていた言葉を私が繰り返すと、社長の表情が止まった。 しんと静まるオフィスに、西村さんの声がぽつりと落ちる。 「俺も社長から大事にされたい。ハイブランドの服じゃなくても、5万のブーツでいいんだけどな……」 社長が驚いたように西村さんを見て、私に視線を戻した。