Side 一条 結愛

もう夜かぁ・・・すべて回るのは さすがに時間が足りない。

~ッッッ!いた・・・

ハイヒールを履いてる時と違う痛み。
・・・靴ズレだ・・・。

「結愛?どーした?」
下をなんとなく向いていたのを晃哉君が気づいた。

「いえ!なんでもありません」
こんな 些細な事で楽しみを潰したくない。

「・・・・・・・・・」
晃哉君が立ち止まって私の足元を見た。

「晃哉君?」

「結愛!次は観覧車 乗ろうぜ?」

私の手を引いて、さっきより ゆっくり目に歩く晃哉君。
まさか・・・気づいた?


「あ~ほら!赤くなってんじゃん!」
・・・バレました。観覧車に乗り、私の足を見て言う晃哉君。

「楽しかったんです・・・」

私の言葉を「はいはい」と遮る晃哉君。
そして、晃哉君のズボンのポケットに入っていた絆創膏を私の足に貼ってくれる。

「ほれ!これで大丈夫!」

「あ、ありがとうございます!」
痛くない・・・!と感動する私。
絆創膏、男の子なのに常備してて偉いなぁと思いつつ、外に視線を向ける。

「わぁ、もう少しで頂上ですね。
きれい~!」
街にはキラキラとネオンが光っていて、
眩しいくらい。
窓にべったり くっついて夜の街を目に焼き付ける。

「なぁ・・・結愛・・・」


「はい?」


街から視線を外せない。
晃哉君の声を耳で聞く。


「・・・好き」

「・・・え?」