「・・・結愛を・・・よろしく頼むよ」
初めて見た お父様の笑顔だった。
目尻が少したれて、口角が上がった お父様。

「は・・・はいっ!」
気合を入れて 言う晃哉君。

「お、お父様・・・!」

「言っとくが 行き過ぎた交際は許さんから
な!手を繋ぐ位で 止めなさい」

お父様は 赤い顔を ごまかすように、びしっと晃哉君を指さした。
そして、病室を早歩きで出て行った。
呆然と お父様の後を見る。

「結愛・・・」
次は お母様が私に言った。

「は、はい。お母様。」
嬉し涙を拭いながら返事する。
その手を お母様が手に取った。

「お父様、あぁ見えて 結愛が大好きなのよ。結愛も ちゃんと安心させて上げてね」
ニコっと微笑む お母様。
お母様の この笑顔は、私にも決意をさせてくれる。

「は、はい!」
自然と出た 笑顔。私は、もう1度 取り戻す事ができた。

「あと・・・七星君、イケメンよね」
ニヤニヤと言い残しながら 病室を出ていく お母様。
お母様・・・晃哉君と顔が近すぎたよ。
自然と晃哉君を見る。

「こ、晃哉君!
なに顔を赤くしてるんですか!」

「い、いや・・・。結愛さんの 母さん、美人なんだもん・・・」

「ッ~!!!」
ドンっと晃哉君の肩を叩く。

私は・・・もう1度、晃哉君の元に帰ってこれた。
・・・好き。晃哉君が好き。
お父様と お母様への 愛情とは違う気がする。
このドキドキは・・・やっぱり・・・?