「・・・一条 結愛さんと 七星 晃哉くん ですね?」
2人のうち、メガネをかけた 真面目そうな
1人の男性が言った。

「は、はい」
私は目尻に残った涙を拭い、返事をした。

「警察庁の 川田です。
昨日の犯人達・・・逮捕されました。
お二人共、体は大丈夫ですか?」
警察手帳を差し出しながら 川田と名乗る男が言った。刑事さんのようだ。

「私は・・・全然 大丈夫です。
ただ・・・彼は・・・」
私は晃哉君に視線を向けた。

晃哉君はニカッと笑って
「俺も 大丈夫です!」
と言った。・・・大丈夫なわけないのに。
手に大きな切り傷があるのに。
これも、晃哉君の優しさなんだろうな。

私は それ以上なにも言わなかった。
「そうですか。では、私達は これで失礼します。お大事にしてください」
川田は ニコッと微笑みながら病室を後にした。

一息つく間もない。
警察の後ろには お父様と お母様がいる。

「お父様、お母様・・・」
難しく厳しい顔をしている お父様と 心配そうな顔をしている お母様。
家に帰らなくて・・・迷惑かけてしまった。
それに、こんな事件にも巻き込まれて。

お父様と お母様からの声を聞くのが怖かった。私は俯いた。