「早速だけど・・・あの彼とは どんな関係?」

有栖川さんの家に おじゃまして1分・・・するかしない時間。
唐突に 有栖川さんがネクタイを緩めて言ってきた。

「彼・・・とは?」
ここは冷静に対応する。こんな人は自分だけが目立たないと気が済まないタイプだ。
先生の中にも沢山いるタイプ・・・。
私は苦手・・・。

「なにをとぼけるんだ・・・七星 勇輝の事だ」

「友人ですが・・・?」

「はっ!友人・・・?バカバカしい。
一緒に授業を受けなかったりするのが 友人か!?」
有栖川さんは 自分専用の椅子に座る。
そして呆れたように笑った。

「ええ。友人です」

「君達の姿を見ると寒気がする。
叶わない恋心を お互いに抱いてな!」
デスクをバンっと叩く有栖川さん。

「それだけですか・・・?私は失礼しますね」
ここから逃げたい。心は冷静でも、体が震えていた。


「結愛・・・彼の身を 考えるのだよ?」
私がドアノブに手を置いた時、有栖川さんが 言った。
無言で、背中で有栖川さんの声を聞く。

「君は私の婚約者だ。
その私の婚約者と必要以上に接する男は どうなってしまうんだろうね・・・?」
分かる。有栖川さんは ニヤニヤと気味悪い笑みを浮かべていると・・・。

「・・・失礼します」
私は有栖川さんの家から出た。