❆LastChristmas❆

「…ごちそうさま。」


「…ああ。」


「あたし、お金返すよ?」


「良いよ、俺が誘ったんだから。」


「…でも。」


「俺が払いたかったから良いの。」


「…ありがとう。」


「なあ志保。これからもこうやって会ってくれる?」


「…え?えっと…。」 


(…どうしよう。ここで言わないと…。)


「…その事なんだけど。」


「…何?」


その時淳史君は真剣な目であたしを見た。


「…あのね。」


(…どうしよう。でも今日はあたしのせいでケガしたし…。

それに奢って貰ったのに…。

本当に終わらせて良いのかな…?)



今日デートしただけで分かった。


淳史君はそんな悪い人じゃないって…。


でも…。


「…志保?」


「あ、ううん。…考えとくね。」


「…分かった。」


「じゃあ家こっちだから。送ってくれてありがとう。」


あたしはそう告げ、自宅に向かった。

結局、その日は淳史君にクリスマスの件を断る事が出来なかった。