「俺には大事な子がいるから。」


「…え?」


「遠山美月が好きだから。だから抜けてきた。」



「副社長…。…バカなんですか…。…何で…あたしの為に…。婚約台無しにしてどうするんですか!」



「良いんだよ。俺は最初から美月しか見てねえんだから。」 


そう言って副社長は笑った。


私はびっくりして涙が出た。




「美月!?」



「だ、だから!ず、ズルいんですよ…副社長!」



「え?」


「副社長はいっつもく、口は悪いし、 た、態度はデカイし
え、偉そうだし、そのくせすぐ嫌味言うし…。」


「おい。いきなり何だよ。」


「社長なんて絶対…好きにならないと思ってたのに!
気づけば私は…しゃ、社長といるうちに知らない一面を知って…」


「美月…。」


「ど、どんどん会うたびにドキドキする自分がいて…。

でもこれが何なのかずっと分からなかった…。」


「…うん。」


そう言って副社長は優しい笑顔を見せた。


「婚約者の方が現れた時、すごく嫌でした。」


「うん」


「何だか分からないけど、嫉妬とか…怒りとか…」

「うん」


「それから…。」


その時副社長の唇が当たった。


しばらくして唇が離れた。



「…え?副社長…?」


「可愛いから塞いだ。」


「な!?」


「つまり俺を好きだって事だろ?」


「…ズルイ。」


「ズルくて結構、そんな俺に美月は惚れたんだろ?」


副社長はそう言って、ニヤッと笑った。


「バカ…。」


けど今日ぐらいは素直になってあげます。 


「…はい。」


「美月」


そしてあたしと社長は再びキスを交わした。


さっきよりも強いキスをした。


そして社長はあたしを抱きしめた。


「やっと気づいたか俺の告白に。」


「え?」


「気付くのおせーんだよ。バーカ!」


「え?」


「ラーメン屋でも告白したのによ…。」


ちょっと待って!


「え、あの時酔ってたんじゃ…。」


「酔ってたフリだし。」  

「ウソー!!」


「鈍感だな、美月は」


「副社長が分かりにくいんですよ!」


「はー!?お前、人のせいにするか?」


やっぱりこの人とは気が合わない!