「はやく食べれば?」



幸せに浸ってるわたしとは裏腹に無表情の、君。
その視線の先には、わたしの手に握られてるパンがある。


あ、しまった…すっかり忘れてた。


しっかりと握りしめて潰れかけていたパンにパクっと口に入れた。




「味しない……」




思わず出た感想が、これ。
そんなわけあるかよって思ったけど、新くんが隣にいるからだ多分。
それしかない。



「アホか」




隣にいる新くんは呆れたように視線だけこちらに向けて、こう言ってきた。






きゅん。