放課後、私はいつものように窓の外を眺めていた。
私は花咲ゆり、ごく普通の高校2年生。私が見ているのは陸上部の幼馴染みの双葉蓮、かっこよくて頭が良くて、学年問わず人気がある。
「1、2、3、4」
準備運動の声が聞こえる。今日頑張ってるなー、私はこうやって毎日連を見るのが密かな楽しみなのだ。

私と蓮の出会いは、いつかなんて覚えてない。気づいたらいつも一緒で兄弟みたいな存在。優しくていつも守ってくれる蓮のことが好きだって気づいたのは小学生のときだっけ?バレンタインのときに告白されてるのを見てすごく胸が苦しくて、これが恋だって気づいた。小中高ずっと一緒にいるけど、好きって伝えたことはないんだ...
実は蓮は中学1年の夏から3年の秋まで東京に引っ越していた。お父さんの単身赴任だったから仕方ないのに私は泣きじゃくって、蓮の出発の日に熱を出して見送りに行けなかったんだよね、そしたら蓮が電話をくれて「もう泣かないで、また帰ってくるから。」って言ってくれたんだよね、私はその言葉を信じてずっとやってきたんだよ?
でも、久しぶりに会った蓮はすごく変わってしまってた。冷たくてでもどこか寂しそうで、向こうでなにかあったのかな?なんで言ってくれないの?もっと頼ってほしい。また昔のように一緒に帰ったり遊んだりしたい。それで、あの時言えなかった気持ち伝えたい...
どうすればいいのか考えていた
「なに、深刻そうな顔してんだよ」
突然声が降ってきた
「はぇ?」
急に来るから変な声でちゃった、
「ぷっ、なんだよその声っ」
「急に来るからびっくりしたんだもんっ」
声をかけてきたのは、蓮と私の幼馴染みの矢澤雷人君。彼は明るくムードメーカー的な存在で、人気があるんだ
「で、なに考えてたの?」
「うーん、」
「またアイツのこと?」
図星だ、雷人君にはお見通しらしい
「う、うん...」
「なに?なんかされたの?」
された訳じゃないけど、冷たくされてるの、どうすればいいかな?なんて言えないよね
「なんでもないよっ、さぁ帰ろうっ」
私たちは家も近いので登下校は一緒にしてる、前は蓮も一緒だったのになー
「お、おう」