ジャージに着替えてグランドに走り出た私たちを出迎えてくれたのは、
先輩たちの笑い声だった。

「おー!マネージャー志望者か!」
明るくて元気な先輩たちの笑顔に、私も楽しくなる。
「はいっ!…あれ?」
「?どうした、千春」
竹下さんが首を傾げて私に聞く。
「あっ、あの…マネージャーの先輩って…?」

この学校は野球ではそんなに弱くなかったはず。マネージャーの仕事を教えてくれる先輩がいないなんてそんなはず…

「ああ、いないんだよ、女子マネ」
「えぇ!?」

素っ頓狂な声を上げる私に、先輩たちだけじゃなく、陽太たち一年生まで声を上げて笑った。
陽太なんか、一際大きな声で、
あの目立つ人懐っこい笑顔を見せて、
大きな口を開いて爆笑している。

人の気も知らないで!!

後でシメようと心に決めつつ、私は今のこの状況に非常にまずいものを感じていた。

先輩マネージャーがいない…
仕事もなにもわからないまま、さっき誓ったように、役に立つマネになんかなれるんだろうか。

もしかして、前途多難、、かも?