グランドに出ると、活気にあふれた声があちらこちらから聞こえてきた。
サッカー部、ラグビー部、陸上部…
沢山の運動部の部員が、グランドを所狭しと埋めている。
だけど、私と陽太の目を引き付けたのは、もちろん野球部で。
グランドの奥でノックを受ける先輩たちの姿に、思わずつぶやいた。

「かっこいー…」
「カッケェー…」

それは陽太も同じだったようで、隣に並んでぼうっと見つめている。
すると、私たちの隣に、野球のユニフォームに身を包んだ長身の男子生徒がきた。

「お前たち、見学か?体験入部?」

急に声をかけられて慌てる私と陽太に、一年生は可愛いなあと笑って、その人は続けた。

「俺は、竹下智。この野球部の、キャプテンをしてる」
私と陽太は慌てて自己紹介をした。
「私、田中千春って言います!マネージャー志望です!よろしくお願いします!!」
「森岡陽太っす!ポジションはピッチャーっす!!よろしくお願いしまっす!」

意気込んで大声を張り上げる私たちに、声がでかいよと苦笑して、竹下さんは部室に案内してくれた。

優しそうな人で、でもしっかり筋肉のついた身体からは、トレーニングの成果を感じる。

私も頑張って、部員の皆さんを支えられるようになりたい。

そう思いながら、ジャージに着替えた。